光草 ーストラリスコー [本(児童書)]
ロベルト・ピウミーニさんの『光草 ーストラリスコー』
イタリアの児童文学者だという作者のことは全く知らなかったが
ーストラリスコー その不思議な言葉の響きに魅かれて買ってしまった。
光を浴びることができないという少年。
そんな息子のために部屋の壁に絵を描いてほしいと頼まれた画家。
画家は少年と本を読んだり、話し合いながら壁に何を描くのか決めることに。
少年と画家はやがて3つの部屋の壁全体に彼らの世界を描いていく。
浮かんだ船が近づく海や草が育っていく草原。
壁に生まれた世界は変化していくようになる。
少年も画家に習い、草花を描く。
そして壁は輝かしい世界を作り出す。
季節に春夏秋冬があるように、輝かしい世界だった壁も秋冬へと移り変わる。
それは少年の体の衰えと共に…
少年マドゥレールは天使のように愛らしい。
画家サクマットの描く壁は、どんなにかすばらしいことだろう。
画家であれば一番壁が輝かしい瞬間で止めておきたいだろう。でもサクマットは
変化させていくことを提案する。
マドゥレールが自分の命と壁の世界を重ねていく後半は、とても切ない。
でも冬を迎えた壁もきっと美しいことだろう。
ーストラリスコーやはり不思議な響き。
そんな名の光草の輝く草原の壁、見てみたいな。
私は健康なので実際の世界を旅することが可能なのだけど、それでも変化していく
壁を旅してみたいと思ってしまうのはなぜでしょうね。
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