始祖鳥記 [本(時代小説)]
飯嶋和一さんの『始祖鳥記』
安定した不自由のない生活が、幸吉にとっては窮屈でしかたない。
常に外へ外へと思う気持ちはやがて、大空を飛びたいという願望へ。
幸吉は、ただ単に空を飛びたかっただけ。
でもその行動は、悪政批判と見られ捕まってしまう。
幸吉の「空を飛ぶ」行為は、すべてを失うだけ。
でも飛ばずにはいられない。
その単純な思いとは別に、人々は幸吉の行動に希望を感じ、立ち上がる勇気へと変えて
いく。
幕府の悪政に対抗していこうとする伊兵衛や源太郎。
己の利益のためではなく、皆で立ち向かうために動く姿に感動する。
綿密な時代考証が重さと深さを、登場人物の行動が前向きな軽さを感じさせる。
世の為に向かっていく男達と個人的な思いで空を飛びたい男。
どちらもすがすがしく、かっこいい。
面白かった。
でもちょっと難しい漢字や言葉を使い過ぎな気も…。
そう歴史や時代背景にたいして強くない私には…流して読むには少し戸惑う。
歴史物に慣れてない人は、おおよそをつかんで最後まで読み、細かい所や時代背景を
また読み直していくとわかりやすいかも。
純粋さって、時に周りに迷惑かけたりしちゃうけど、強い。
幸吉はその後どうしたんだろう?
世界のどこかで飛んでいたんだろうか…?
名前を変えて、伝説になってそう。
結末があっさりしてたので、もう少しだけ幸吉を追ってほしかった気がする。
前向きで、大きな気持ちになれる本。
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