自転車少年記 [本(児童書)]
竹内 真さんの『自転車少年記』
初めて補助輪なしで自転車に乗れた昇平は、そのまま急な坂道へハンドルを向けてしまう。
猛スピードで止まれなくなった昇平は、自転車ごと草太の家の生垣へ突っ込んだ。
そうして始まる昇平と草太の4歳から29歳の物語。
25年を一冊にと聞くと忙しそうな話に思えるが、物語はまさに自転車のような爽快感で
進んで行く。長編だけど、読みやすい。
人生の節目にいつも自転車がある2人。
高校からは伸男も加わり、挑戦、挫折、友情、恋、仕事、出会いや別れを経験していく。
無鉄砲で人懐っこい昇平。一途でまっすぐな草太。職人気質で純情な伸男。
三者三様の人生を選択しながらも、自転車による繋がりは途切れるとこはない。
そして自転車と共に、人生の山も谷も乗り越えていく。
こちらは文庫だが単行本を文庫にしたものではなく、単行本の番外編と続編。
単行本ではあまり詳しく語られなかった出来事が書かれていたり、その後を知ることができる。
爽快さはそのままで、昇平目線でしぼられているせいか読みやすい。
単行本とセットで読んでほしい。
いろんな壁にぶつかってもマイナス思考に陥るのではなく、自転車を漕ぐことで前に進む。
草太のように一日で300kmは無理でも、この本を読んでただあてもなく行ける所まで行って
みたいと思う人は多いだろう。
初めて自転車の補助輪なしで走れた瞬間を私も覚えている。
ゆるやかな坂道で父と練習していた時だった。
急に視界が開けた気がしたが、一瞬真っ白になってしまってどうやって止まったのかは
覚えていない。
自転車競技をしてた人も、してなかった人にも風を感じることのできる本。
児童書としてもいいとは思うけど、30〜40代の人にもおすすめ。
(主人公達がそんな年代だから)
携帯などない時代のやりとりなど懐かしい。
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