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ポプラの秋 [本(児童書)]


ポプラの秋

湯本香樹美さんの『ポプラの秋』
老人と子供と死、『夏の庭』と共通するものがあるけど、こちらは
児童書には含まれないだろうなぁ…
(でもいいや、入れちゃう児童書カテゴリーに)

なかなか仕事が終わらず来ない友人を、本屋で待っている間に立ち読み。
延々待っている間に、一気に読み終えてしまった。
読み終えちゃったけど静かな空間でもう一度読みたくて、結局購入してしまう。

父親の死を消化できず、精神的不安から熱を出す6歳の千秋。
ポプラ荘の大家のおばあさんと、昼間過ごすことになる。
子供の目には恐ろし気に見えるおばあさんとしだいに打ち解けていく。
おばあさんはある日、おばあさんの秘密を千秋に教える。

大人になった千秋はおばあさんが亡くなったと聞き、ポプラ荘へ。
おばあさんに手紙預けた人達が集まり、賑やかな通夜。
昔、千秋の母も預けた手紙。千秋の父へ書いた母の手紙を読むように言われる。
その手紙とポプラ荘が、死へ心が近付いていた大人の千秋を救う。

奇想天外な事件が起こるわけではない。
やさしく自然な話の流れで、読んだ後の気持ちが良い。

大切な人を失って残された人は、その痛みをあの世へ手紙を書くことによって
やわらげていく。
おばあさん、なかなかただ者じゃないね。

湯本さんの本は『死』をほんとに自然にうまく扱っている。
『夏の庭』はまたそのうちまた読んで書こうと思うけど、2冊とも好きだ。
『夏の庭』は死について知りたくなりはじめた子に。
『ポプラの秋』は少し疲れた若い女性に。(もちろんそれ以外の人にも)


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ステップファザー・ステップ [本(児童書)]


ステップファザー・ステップ

宮部みゆきさんの『ステップファザー・ステップ』
何か軽いもの読みたいなぁ…と本棚あさってて、これにしてみた。
「火車」とかズシズシ重いものもいいけど、宮部さんの本の中ではこの本が一番
好きかもしれない。
児童書かどうかはわからないけど、今は青い鳥文庫でも出てるみたいだから
(子供にふさわしくないところはカットされてるらしい?)一応児童書なのかな?

ある家に盗みに入ろうとした泥棒は、足場代わりに登った隣の家の屋根から落雷で
落ちて双子に拾われる。
双子にしっかり弱味をにぎられた泥棒は、中学生の双子の父親役をするはめになる。
嫌々父親しながらもいろいろな事件に首をつっこんでいくうちに、だんだん疑似父子が
それらしくなっていくのが、ほほえましい。
泥棒のうさんくさい仲間も加わって、いつのまにやら疑似家族の出来上がり。

双子は1つの話を分割して交互にしゃべったりするので、本の厚さほど文があるわけ
じゃなくチャッチャと読める。
起こる事件はあまりかわいらしい事件ではないけど、なぞ解きの面白さより双子と泥棒
の会話や交流が楽しい。
双子はもちろんかわいいけれど、泥棒の心情もかわいい。

発行からずいぶんたってるし、続編はないんだろうなぁ…書いてほしいなぁ、続編。


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童話物語 [本(児童書)]


童話物語

向山貴彦さんの『童話物語』
地上へ人間の観察にやってきた妖精フィツは、性格のまがった少女ペチカと出会う。
小さな田舎町で孤児のペチカは、いじめられ、裏切られ、生きて行くのに精一杯。
…そりゃ性格も悪くなるさと思う。

町を逃げ出しはじめてやさしさに触れていく。
はじめは受け入れることのできないペチカも、やがて新しい生活の中で人を思い合う
やさしさを理解していく。
いじめる側だったルージャン、そしてフィツも、守られることなく1人で生きるつらさ
限りある命の大切さを知り、ペチカのつらさを理解していく。

少しお話の設定が大きすぎて、話がそれについていってない感じが少し残念な気もする。
もっと身近な設定だったほうがよかったような…と思うのは個人的好みの問題。
でもそういうことを気にせず、登場人物の心の成長や大切な人を思い合う気持ちに焦点を
当てて読んでほしいかな。
前半は少し読み進めづらいが、後半は涙ボロボロ(あ、私はね)

他人を自分のことのように思えるようになった時、様々なことを学び、後悔し、やさしさを
身につけ成長していく。
そして過去を憎むをやめ、ゆるすことができてはじめて解き放たれる。

何一つ変わらない、永遠な妖精の世界を『悲しい世界』と言ったルージャン。
限りある命、変わっていく世界…醜くもあり、美しい。

私も永遠の変わらない世界より好きだなぁ。


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りんごの畑の特別列車 [本(児童書)]


りんご畑の特別列車

柏葉幸子さんの『りんご畑の特別列車』
金曜に千と千尋の神隠しがやってたので『霧のむこうのふしぎな町』を読み返そう
としたが、なぜかこっちを読みはじめてしまった。

題に『ふしぎ』はついていないが、ふしぎシリーズの仲間の本かな。
ふしぎ…も最初臆病な女の子がだんだんに行動を起こし、終わりの頃には
一回り大きくなっているが、この話の主人公のユキもそうだ。

家へ帰る列車に乗ったのに「特別列車の切符を持っていない」と車掌さんに言われ
知らない駅で下ろされてしまう。メリィさんを訪ねるように言われ行ってみると、
今度は違うの世界に行かされてしまって…

っとはじまるのだが、そこで出会うペキンポ、チャップ、チビと旅をする。
自分よりガンコなペキンポを説得しているうちに積極的になり、自分より無鉄砲なチビ
に手を焼いてるはずが、自分のほうがこわいものしらずで進んでしまう。
ニクシーの城に潜入してからは乗り物乗ってる感じにスピードアップで進む。

『天井うらのふしぎなともだち』に出てくる紅と了の姉弟が少し成長して出てきたり
りんご…では旅行社のメリィさん、も「え?あのママー人形のメリィさん、旅行代理店
してるの?」とちょっとびっくりだ。
天井…を読んだことがある人にはうれしかったりする。

柏葉さんの本は和風のようで、洋風のような、でもアジア的?でなんともふしぎな
感じだけど、なぜかどれも自然に読めてしまうような…
主人公が普通のそのへんにいそうな子だからかな?
小さい子に読み語りしてあげても喜びそうだと思う。


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二分間の冒険 [本(児童書)]


二分間の冒険

岡田 淳さんの『二分間の冒険』
主人公の悟は黒猫につれてこられた世界で、二分間の大冒険をする。
その世界でいちばんたしかなもの〔ダレカ〕をつかまえたら、もとの世界に帰れると
言われた悟は、わけがわからないながらもしぶしぶ冒険をはじめる。
そしてたしかなものをみつけようとするうちに、いろんなことを経験していく。

どんでん返しの連続で、あきることなく一気に読める。
竜とのなぞなぞの掛け合いの場面は、きっと子供達が好きだろう。
この本は大人が読んでもとてもおもしろいが、やはり主人公と同じ年あたりの
小学校中〜高学年あたりの子達に読んでほしい本。

岡田 淳さんの本は他に『扉のむこうの物語』を読んだことがある。
扉を開けると物語の中に入ってしまう話だ。
ひらがな五十音表でかえした言葉が細かい伏線となって、なぞ解きのようでおもしろい。
でも少しわかりにくく素直に読み進めにくいかもしれない。

今朝、目覚めるまで見てた夢がおもしろかった。
夢だとわかっているのに続きを見ていたくていたくて…で、寝坊した(笑)
ちょっとマンガ的な内容だった気がするけど、あんなに夢中だったのに忘れてしまった。
う〜ん…起きてすぐ書いておけばよかったなぁ。
私も大冒険してたのかもしれない。


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カラフル [本(児童書)]


カラフル

森 絵都さんの『カラフル』
人の人生は人それぞれだけど、誰でも一度は死について考えたことはあるはず。
死んだら終わり。
で、物語はそこからはじまる。
前世で過ちを犯した魂が、人生再挑戦の抽選にあたったことを天使に知らされる。
自殺を計って魂が抜けた少年の体に、抽選にあたった魂はホームステイすることに…

去年、いじめで自殺の悲しいニュースがいっぱいだった。
無責任な大人である私はつい、死ぬぐらいならそこから逃げちゃえばいいのにとか
思ってしまうけど、子供の世界は狭くてその狭い世界がすべてなのだ。
大人だって何か問題を抱えてる時は、もうその世界しか見えなくなる。
私だって、死にたくなったことは数知れず…

ステイしている魂は、しだいに自殺した少年が見えてなかった世界が見えるように
なり、この体を少年に返してやりたいと願うように。

えらそうなことは特に言えるような人間ではないけど、やっぱり『死んだら終わり』。
死なないでほしいと願う。
この物語の魂が最後に気付くように、仮ではなく本当の人生を歩いていくのはこわい。
でも天使が言う
『あなたは下界ですごして、そしてふたたびここにもどってくる。
せいぜい数十年の人生です。
少し長めのホームステイがまたはじまるのだと気楽に考えればいい』

この天使プラプラがいいキャラしてて好きだ。



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精霊の守り人 [本(児童書)]


精霊の守り人

上橋菜穂子さんの《守り人シリーズ》《旅人シリーズ》
児童書で出ているけれど、壮大な物語で大人が読んでもおもしろい。
というか、ある程度の年令に達してたほうがおもしろいと思えるかな。
架空の世界だけどどこかアジア的で、空気感などつかみやすい。

巻を重ねるごとに、国々の事情や争い、異世界の変化などが複雑にからみあって
主人公をはじめ、登場人物達は巻き込まれていく。
現在は、最終章3巻の『天と地の守り人』の第1部が出ていて、そろそろ第2部
が出る頃だと思う。

主人公が30代の女ってめずらしい(児童書なのに…)
物語上の国々はそれぞれ異なった環境、生活習慣、人の容姿や言葉も違う。
そういった細かい所もよく書かれていて、私はこういう地図がほしくなるような
物語が好きだ。(地図はところどころ出てくる)

だんだん重く複雑化してくる話の間に、会話や食べ物でなごむ場面がちりばめら
れていて、ちょっとホッとさせてくれる所がいい。
あとちょっとで終わっちゃうのか〜っと思うと寂しいけど、早く続きが読みたい。

アニメ化されるらしいけど、タンダがカッコよすぎ?らしい?
まぁ、見てみたい気はする。
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追記 1/24

『天と地の守り人』第2部を読む。
刺客に追われながら、バルサとチャグムが親子のようにお互いを思いやりながらの旅は
彼らを取り巻く状況とはうらはらに、どこかホッとしてしまう。
物語がこの先どうなるのかはわからないが、チャグムはすべてが終わった数年後には
この途中の日々も懐かしく思うのかな…なんてね。
彼がバルサをからかって軽口たたく、そんな懐かしくうれしい場面が出てきた時に
ふっとそんなことを思った。
まだまだすべてが途中の物語が合流していく第3部が楽しみ。
_______________________________________
追記 2/19

『天と地の守り人』第3部を読む。
ああ…読み終えてしまった。
最終巻では、チャグムとシュガは国や民の為に、バルサはタンダの為に、トロガイは
呪術師の総力を上げて、戦いと異世界の変化から来る危機に立ち向かう。
そして体にも心にも深い傷を負っていく。
多くの苦しみと犠牲が強いられる大きなうねりの中で、やがて一つの終わりを迎える。
全部読み終えて寂しいが、ここで終わるのがいいと思える終わり方じゃないかな。
読者の私はここまでしか読めないが、彼らの明日は続いて行くのではないかと思える。
架空の世界だけど、土臭い物語が心にせまってくる。
一人一人の成長や思い、背後の国々の事情、異世界との関わりなど全巻を読んでから、
やはりこの最終巻に手を伸ばしてほしいと思う。


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